2002

DX青年の語る会 ご報告
2002年12月20日 18:00~20:00 みなとNPOハウス 交流サロンにて
出席者:16名(保護者・スタッフ含む)

初めての試みでしたが、参加してくれた若者達には本当に感謝します。
ディスレクシアと診断されている若者4名とADHD、LDの若者が集まりました。
スペイン人で日本語を学んでいる青年も参加してくれました。

稲川剛君が「ここでは誰もあなたのことを笑ったりしない、だから、なにかいつもの自分と違うことをして、一歩を進めるならここでするのがいい」と他の人に勧めてくれたのが印象的でした。

ディスレクシアの青年は「初めてのことでぎこちの無いところもあったが、お互いに面識をもてたことでこれからの展開が楽しみだ」といっていました。

<参加者の意見>

* 1人ではないことが感じられてよかった
* また同じような催しを今度は自分達中心で行いたい
* 学校と言う場所でやったのが落ち着かなかった
* もっとみんなの話を聞きたかった
* もっとフリーに話したかった


今回のことを出発点として3月の再会を誓ってお開きとなりました。


LD懇話会かながわ第39回例会 藤堂議事録
日時:2002.1.22 午後6時30分~8時30分
場所:ランドマークタワー13F フォーラムよこはまセミナールーム1

[TOPICS]
01)NPO EDGEの立ち上げに至る経緯
02)「LD」は他人事のように感じていました
03)ディスレクシアってなんだろう?
04)日本ではLDと言うの?
05)イギリス事情は非常に進んだ部分がある
06)特別な支援が必要な子どもたち
07)教育的なニーズとは-英国児童の10%が難読症
08)障害の程度にあわせて、5段階で対応
09)ステージ1
10)ステージ2
11)ステージ3
12)ステージ4、5
13)大学での対応
14)対応によって大学は6段階に分かれている
15)校内での対応
16)対応方法
17)日本と違い読み書きに固執しない
18)時間の管理について
19)自信を回復させるカウンセリング
20)親に対するサポート
21)国家試験での配慮
22)NPO EDGEの目指すところ
01)NPO EDGEの立ち上げに至る経緯

ただいまご紹介にあずかりました藤堂と申します。「NPO EDGE」というのを10月に立ち上げました。「NPO EDGE」が何をしたいのかというのは、英国事情の話をした後で、その中でどういうことをしたいのか、というのが出てくるかと思うので最後にちょっとお話したいと思っています。

それで、どうして私がNPOを立ち上げるに到ったかというのを、少々前振りでご説明したいと思います。
私の子どももディスレクシアです。それがわかったのが、彼は今18歳でイギリスに留学しておりますけれど、15歳で「どうしても日本の学校は自分に合わない」と自分から言い出しまして、「自分は日本で教育を受けていたのでは将来がないのではないかと思う」という、まぁ生意気なことを申しまして、私自身外国で育っておりますので、「じゃあ受けてみたらどうか」ということで、イギリスのケンブリッジ、・・・大学ではなくてある高校に縁がありまして、15歳の時に下見に参りました。それで今の英語力ではとても高校は無理だということなので、イギリスでまず語学学校に通うことになりました。

02)「LD」は他人事のように感じていました

それまで私は「LD」という言葉は新聞で読んだことはありましたけれど、「うちの子どもに似ているけど違うのかな」という感じで他人のことのように感じておりました。確かに「鏡文字が大変多いです」とか「先生の指示に従えないです」とか「忘れ物が大変多いです」とか、ありとあらゆるLD・ディスレクシアに通じる症状があったのですけれども、「気にしない母親だった」というのが一つあるのと、自分自身が小学校のとき「忘れ物の大家」として知られておりまして、それでもこれだけのびのび育ったのはどうしてかと考えますと、そこにおります白髪の母が「自分自身がディスレクシアだ」というふうに答えまして、今でも書字障害だとか計算障害だとかいろいろございます。まぁ年のせいも相当あるのではないかと思っておりますけれど、本人は「ぼけたのではなくてもともとだ」と言い張りますので、たぶんこれは先ほど加藤先生がおっしゃった、家族性の、女性の方の家系から下りていくというのが証明されるのではないかと思っております。

03)ディスレクシアってなんだろう?

そんなことで、息子はイギリスに行く15歳までそうとは知らずに育ちました。IQが最近イギリスでとったところ、150くらいの部分もあるというので、非常に高い部分でどうにかつじつまをあわせて生きてきてしまったということなんだと思います。

それでイギリスの英語学校に入りました。
語学学校に入って半年くらいしたときに先生の方から「彼のコミュニケーション能力とインテリジェンスと比べて、どうもライティング(writing)とリーディング(reading)の進歩が遅い、他にも左右が分からないとか、忘れ物が多い、時間の管理ができないとかいろいろなことを考えると、ディスレクシアであると信じるに足りるだけの症状を持っているのでちょっと検査をさせてくれないか」という内容の手紙が来ました。

そこで「ディスレクシアってなんだろう?」とわからなくて、辞書を見ますと、“失読症”だとか“難読症”と書いてありました。ホームページをいろいろとインターネットで調べても、日本語のページでは「ディスレクシア(dyslexia)」というのはその当時一言も出てきません。1ヒットもありませんでした。まだその時点で「LD」だとは思っていないのですね。

その手紙はまだそれで終わっていませんで、きちんとオチというか、「そうすると彼のインテリジェンスが十分に活きる、サポートができるから検査をしてみませんか」という誘いなんですね。そうすると「じゃあやってみよう」という気になりまして、「ぜひお願いします」とお頼みしました。

やった検査はWISC-R、まず知能検査をして、それで先程加藤先生のおっしゃったような検査をいろいろされたりして「軽いディスレクシアだろう」という結果がでました。それで学校のほうに、「こういう場合勧める方法としては、耳からと読みと一緒に進めていくこと、それでも入らない場合はビデオとかを使うこと、それでもだめだったら日本は漫画があるから漫画を使いなさい」というようなことも書いてありまして、それを参考にして次の日からもうサポートが入りました。そんな事情がありまして、息子は今大学に入る準備をしております。

04)日本ではLDと言うの?

かたや日本ではどうなっているかと調べてたところ、その頃には知人があるタウン誌の記者をしていて、LD児の保護者でアンクルトムというページを作られた方の取材にいって、「藤堂さん、日本ではディスレクシアって言わないでLDって言うらしいですよ」と教えてくれました。

LDというページを見ると色んなページが出ていました。そこで色々調べて、上野先生にも会っていただいたりとか色んなことをしたんですけれども、どうも腑に落ちない、日本でLDと言われている方たちが自閉症とかADHDだとか知的障害の方たちもずいぶん含んでしまっているんですね。それは多分はじめのときの勢いで、上野先生の優しさとかもあってそういう状態になっていると思うんだけども、やはり知能が高い、知能が普通なために見過ごされてしまっているディスレクシアのお子さんたちはうちの息子と同じくらい苦しんでいるだろうな、と思って何かできないかなと思い、NPOを作ろうかなと思いました。そして何人かの人に相談をして、2年くらいの準備期間を経てNPOを作ることができました。それが私の自己紹介とEDGEがどうして作られたかということです。

05)イギリス事情は非常に進んだ部分がある

そして英国事情を調べていきますと非常に進んだ部分がありまして、先程おっしゃった1800年の頃にもう実際にディスレクシアというよりはワードブラインドという形で、そういう人が見つかっているんですね。加藤先生もお話しになられた14歳の子でbrightでintelligentなんだけれども字の読み書きができない。その子はワードブラインド(Word blind)と症状が発表されています。

その間100年間たってやっとイギリスでも広くあまねくディスレクシアというのが分かられるようになって来ました。そのきっかけはそれが1960年代になって初めて、うちの子がこんな目にあっているのはたまらない、ということで親の会を作って、そこで研究を始めてもらおうというのが英国のBathという町で始まりました。ローマ帝国時代からの風呂で有名な町です。それが段々5年6年7年と経って全国組織になりました。それが現在BDAと呼ばれている British Dyslexia Associationになりました。これは研究をして啓蒙をするということと、ローカル・グループというそれぞれの地域にディスレクシアに対応していくグループがあるんですけれども、それをまとめるなどをしています。そしてメインは政府と親子のサポートをしていこうというのがBDAの役割です。

もう一つそこから枝分かれしたDyslexia Instituteというのがございまして、そちらがそういう子どもたちに適切な教育を生み出す機関が必要だというのでこれも民間でできた機関で、教師のための教育機関です。他にもいくつか民間の教育機関ができています。

06)特別な支援が必要な子どもたち

実際に今法的に1981年に教育科学省からStatement of Special Educational Listという形で、ディスレクシアとは限らないんですけれども、「ありとあらゆる教育的支援を必要とする子どもたちに対してサービスをしなければいけません、しない学校は罰せられます。」というものがあり、あともう一つは「何らかの障害を持った人に対して雇用の場面ですとか教育の場面でサービスをしなくてはいけません。」という内容のものが出されています。

そして93年にそれの実施法、Code of Practiceというものも出されています。それらの特別な支援が必要な子どもたちがきちんと守られてサポートされている法的根拠になっております。されない場合は裁判所に訴え出ることもできます。学校も訴えることができますし、ローカルな教育委員会を訴えることもできるというふうになっています。
1990年からBDAの方でNational Hotline を全国的に開設しております。もう一つは保護者に対して相談に乗ってあげる、気持ちを楽にしてあげるというような、それはそんなに大変な資格ではないんですけれども、普通の人がなって話を聞いてあげて、「大変ね、一緒に頑張ろう」というかんじで話すというものです。

もう一つ、Computer Coordinatorというのがいます。コンピューターを使うと非常に学習が楽になるんですね。どうしてかと昨日うちの事務局長に聞かれたんですけども、私には答えられません。こちらにいらっしゃる研究者の方たちにそこら辺は答えていただきたいと思うんですけども、コンピューター言語には反応が楽だというように言われています。あとは今大人のディスレクシアの人達にどう対応したらいいのか、大学でどう対応したらいいのか、就労先でどう対応したらいいのかがどんどん整理されていっています。

次の段階は何かといったら、Giftedというディスレクシアの中でもものすごく才能のある人達をどう育てていったらいいのかということと、まあイギリスというのは英語が通じれば世界中どこでも生きていけると思っているんですけれども、それ以外の言語も学ばなくてはいけないという気持ちも少しは出てきたみたいで、バイリンガルの子どもたちにどう対応するか、または具体的に二ヶ国語目を学ぶときにどう教えたらいいのかという教育です。

07)教育的なニーズとは-英国児童の10%が難読症

それが今申し上げたような背景、教育的なニーズというのがどういうものかというのが法律で決まっています。そして先程加藤先生がおっしゃいましたけれども、10%の児童・生徒が難読症・ディスレクシアだと言われております。日本では4%、5%と言われていることの差は、先程加藤先生もおっしゃったように日本語は五つしか基本的に母音がない、そして一つの音に対して一つの仮名がある、そして漢字が表意文字であるために、きちんと読めていなくても大体の内容が読めてしまう、分かってしまうというのが見つけるのを遅くしているだけなんじゃないかと私は思うんですね。発現率が低いのではなく、見つけるのが大変なんだと。それはきっと日本では中学校からやっと英語が入ってまいりますから、英語が入ってきた時点ですごく苦しむお子さんが出ていらっしゃるのではないかと思います。

08)障害の程度にあわせて、5段階で対応

ではイギリスの法律で決められたことはどういうことがあるのかということですね。障害の程度にあわせて、5段階で対応しています。まず小学校入学時にスクリーニングテストがされます。それで定義が五つに分かれていて、これは歳じゃなくて障害の程度によってというお話で、ここから先は私が自分で調べたのではなくてこの前のワイデル先生がお話になったのをそのまま持ってきておりますので、詳しくはワイデル先生に聞いていただきたいと思います。

09)ステージ1

大体私がわかっているとこまでは、ステージ1というのが入学時に全員スクリーニングされて、そこで知能に問題がある、身体に問題があるというのがありますけれども、軽度の発達遅滞ですとか読みだけが大変ですとかそういうことがある程度すくっていけるんですね。ざるの目が段々粗いものから細かいものに変わっていくという形です。

そして数に関する知識がどうなっているのか、自発的に行動をとるかとか、言語の音韻性がちゃんと自分でできているかなどを教師の方でも見るし、親の方でも「これまでこうだったんですけどどうでしょうか」ということも含めて、この時点で見ていきます。ここで少しバーっとふるわれて、そうすると学習障害児というよりは何か困難があるのではないかと認められるわけですね。

そこで先程も申し上げました実行法に基づいて、色々なサポートが入ってまいります。その特別なニーズ、その子その子のニーズはどんなものかを見て、どんな対応をしていくかということが決まります。私は一つだけ公立の学校を見に行ったことがありますが、大概リソースルームがあって、そこにニーズのある子どもたちが来るということが多いです。数名同じような子が来ることもありますし、何人か違う症状なんだけれども来て、リソースルームで先生に聞いたりということをしています。そして学期末ごとに発達状態のモニターをしています。だからここで1学期でぐっと伸びてしまえば、そのままの学級でいきましょうという形になります。普通学級の中に平行して組み込まれてそういうことがなされているわけです。

10)ステージ2

ステージ2は、そのくらいの期間見ても、やはり困難さがそのままですねという場合、センコー(SENCO)という、これは先公と言っているわけではなくて(笑)、Special Educational Coordinatorという制度がイギリスにはありまして、ディスレクシアに限らず何らかの特別な支援が必要とされている子どもに対して、色々な科目ですとかを先生や親とコーディネーションする人なんですね。これは特別な国家資格があるわけではなくて、学校にいる中で私がやります、という先生がなさるという形なんですけれども、なってからどんどん色んな研修とかさせられて、勉強するわけです。そしてIndividual Educational Program、これはアメリカでも一緒ですけれども、それぞれにこういうプログラムで支援してあげたらもっと勉強しやすくなるんじゃないかというのを作っていくわけですね。そこに学習サポート教師ですとか、教室でサポートをする資格の全然ないボランティアの人とかが入ってきます。そしてそのサポート頻度なども決めていきます。これはこういう症状だから誰が何回やらなければいけないと決められているわけではなくて、各校の裁量に任せられています。

11)ステージ3

ステージ3までいくと、それでもあまり進まないというときは各地区の教育委員会に、こちらはきちんと認定されたSENCOがいます。そして彼らがアセスメントをいたします。これも医療のアセスメントではなくて、教育的なアセスメントです。それはそのSENCOという方は教育心理士、Educational Psychologistであることが多いです。そして学校が出したIEDが本当にその子にふさわしいのかを検討して、その時に親にもきちんと入っていただいて、家庭でのサポートの仕方だとかそういうことについても話していただきます。家でどういうふうに対応したらいいかとかどう考えたらいいかとか、障害というのをそんな悲しんで受け取らなくていいんですよというような親に対するサポートもしています。

12)ステージ4、5

ステージ4から5は、その困難がずっと続いてしまう、これは言語・読みのテストで下位2%というふうに書いてありますけれども実際はそんなに厳しくないと思います。ただ法律は面倒くさいのか、あまりここでstatementまで出してくれるという例は少ないらしいんですね。それが問題だと聞いておりますけれども。Statutory Advice、日本語では法的なアドバイスと言います。その先のstatementというのが出ると、色んな配慮がしてもらえるわけですね。経済的にも配慮してもらえますし、色々な形で、試験のときにも配慮してもらえます。学校内での配慮とかも、俄然statementがあるかないかで差が出てきます。これは国の補助ということで、非常に障害が重い場合は国から学校に約40万円、2千ポンドまで支給されます。使途は学校に裁量権があります。だから5人いると200万円もらえて、そういう先生を週2回雇えるとか、1人だけだったらコンピューターを買い与えてソフトを一つずつ使ってもらおうかなどというように、学校がどうやって使うかは考えてくださいというものです。それだけ出るんだからもっとstatement出してもらった方がいいんじゃないかと私は思うんですけどね。

13)大学での対応

ここまでが日本でいう義務教育までの話で、この先Higher Education、高校ですが、向こうでは高校へ進むのは高等教育に進むという意味で、純然たる大学進学率が非常に低いです。日本みたいに誰でも彼でも行きなさいっていうのはなくて、同じ学年の7%くらいしか大学には行きません。だから入るのもそんなに大変じゃありません。入るのは勉強するために行くのであって、遊ぶためではないということです。

そういう大学でどうなっているのかと言いますと、まず日本でもそうだと思いますけれども、本人がディスレクシアであるということを隠したがります。そこまで隠してきた人は、IQも高いしディスレクシアも非常に軽いんだと思いますけれども、隠したがります。あと進学率は普通よりは低いというふうに言われています。医学部や薬学部の一部はディスレクシアの学生を入学させません。これは間違って違う指切っちゃったりとか(笑)、薬学部だと調合間違えたりとか。違う医者の分野に進めば私は構わないと思ったんですけれども。卒業成績も全体的に低いという統計も出ています。

14)対応によって大学は6段階に分かれている

次に私立の場合どうなっているのかというと、うちの息子は今私立の学校に行っております。6段階に学校が分けられています。これはインターネットで Independent schoolのリストを見ますと、どの学校もディスレクシアに対する対応という項目が絶対入っています。喘息だとか偏食だとか宗教だとか、そういうのは学校によって載っているところと載っていないところがありますが、ディスレクシアに関してはその6段階のどこだっていうのが書いてあります。

専門校はディスレクシアの子しか扱いません、専門クラスがありますよというのは一クラスディスレクシアに対応するクラスがありますよということ、ユニットというのはディスレクシアのことがわかっていて対応できる先生が少なくとも3人はいますよという学校ですね。次のグループが校内補習をしてあげますよと、次は校外補習を斡旋してあげますよと、そして同情しますよ(笑)、という風にランク付けされています。でも同情だけでもしないよりはマシかもしれません(笑)。

15)校内での対応

校内ではどう対応しているかについてお話しましょう。この前ある私立の、いわゆるpublic schoolの校長先生に伺った話ですが、入学時にスクリーニングをいたします。そしてそのIEPに合わせてそれぞれのプログラムを作っていきます。やはり私立ですから有料になることが多い。それで教育心理士による評価、アセスメントと学校内でのIEPをした先生との意見が同じであれば、学校長が statementを出します。ということで、public schoolでstatementをもらえる子どもの数の方が国立の学校でもらう子より多いという状況なのではないかと思っています。

16)対応方法

今日は先生方が大変多くいらっしゃっているということで、あまり深くはご説明いたしませんが、対応方法、どういうふうにしていくかで、小さいときは知覚統合とか感覚統合というmulti-sensoryなeducationが入ってきます。例えばサンドペーパーがついた、木をくりぬいたアルファベットで文字の形を認識していくというようなことから入っていきます。出来るだけ具体的な概念から抽象概念に入るというのを遅らせる、出来るだけ具体的な概念を使って難しい数学をやっていくというようなやり方をしています。あと音韻知覚教育、book・look・tookは音が同じだねというところから入っていったり、英語って書いてある字がそのままスペリングされて、発音が同じでないことが多いんですね。例えばbeatとdeadとdearと同じeaが入っていても全部違う発音ですよね。だから非常に難しいところがあるので、そこら辺のところの教育をします。

17)日本と違い読み書きに固執しない

日本と違うのは、読み書きに固執しないところです。教えるときに固執しない、それがすごく嬉しいんですね。もうある程度まで難しかったら拷問にかけるのはやめましょう、コンピューターがあるじゃないですか、ワープロで書いたらどうですかということで、即ワープロの教育をされたり、スペルがわからなければスペルチェックがあります。あとは思考の組み立てが非常に難しい子どもが多いみたいですが、それはmind mappingで、出てきた仮名全部書いちゃってそれをmind mappingでまとめてったらどうですか、と。

その他には、書字も書けるとかいうことよりもどういう場面で書けるかということの方に重きを置いてくれるんですね。プレッシャーがかかるとできなくなるんですね。ですからプレッシャー下で計画を立てて書く練習、スペリングですね、緊張すると想起がこんなんになるようです。あと読みに関しては質問を読み取ればいいわけですね、一語一句読めるよりも質問が読み取れるということが大事なんです。

文章の中のキーワードはどれといって見させる方法や、つづり方もwordとして覚えさせるという方法もありますし、structureに分けて(例えばスーパーとマーケットで大きな市場のように)二つの言葉に分けて意味で覚えさせる、漢字的な感覚で覚えさせるというのもあります。あと計算を思考言語に置き換えて考えさせると英語で書いてあったんですがどういう意味でしょうね。計算の過程を言葉にして理解させるという説明が書いてありました。ちょっと教えるということをしたことがないので、皆さんの方がお分かりかと思います。

18)時間の管理について

あとディスレクシアの子どもで困るのは、整理整頓が出来ないことです。そういうこととか作業の期日が守れるように、時間の管理が出来ない子が多いので、大きな時間割を作って、いついつまでに出すんだからいついつまでに書き始めなくちゃいけないからっていって逆算して言って、じゃあもう今日始めなくちゃいけないね、というような形で指導してあげたりします。

あと教科別のサポートをしたり、学習スキル、一人一人に合った、どういう学習方法をとったらやっていけるのか。低学年のうちはつづり方なんかで済むんですけれども、大きくなったらそれよりもどうやって生き延びたらいいのということをどんどん教えていくんですね。

19)自信を回復させるカウンセリング

もう一つすごく大事なことは、自信をなくす子が多いから、自信を回復させてあげるというカウンセリング、小さい部屋で座ってのカウンセリングではなくて、すべての場面で行われます。うちの息子の場合でも、教科は何をとったらいいだろうという時に、君は何がしたいの? 君は何が得意なの? だったらこういうことができるよ、だったらこういうことはどうだろう、全部できる、できる、できる、そうすると大学はこういう学部があるよ、そうするとこういう将来があるよ、と非常にポジティブに持っていってくれる。うちの子はディスレクシアなんですよ、とイギリス人に言うと、「How interesting!:なんておもしろいの!」「No wonder his bright!:道理で頭がいいと思ったよ!」と言ってくれると自然と胸を張ることが出来ます。すごく安心する。今、日本の親御さんが色々な学界の先生とかからヒステリーでいかんと言われることがあるんですけれども、ヒステリーにさせているのが社会であって、受け入れてくださればきっとお母さん方ももっと明るい気持ちで自分の子どもの将来を見てあげられるのではないかと思っております。

20)親に対するサポート

親に対するサポートも色々ございます。まず入学時に子どもに対してどういうことをしてあげたらいいかというメモが配られます。ちょっと問題があるなというような子の場合ですけれども。Public schoolは寮生活ですから寮でだらしない子だとか忘れ物が多い子だとか色んな子に対して、こうしなさいよという自立の手助けが書かれています。この自立の手助けが一番の親が子どもに与えることの出来るギフト、プレゼントだということですとか、何か問題があったらいつでも連絡くださいよ、などということが書かれています。
キーワード、合言葉はモKeep it simpleモです。非常に複雑にするとなんでも混乱しがちな子達なので、そこら辺をすっきりさせるということですね。

21)国家試験での配慮

さっきのstatementをもらうと、国家試験などで色々な配慮がしてもらえます。時間延長ですとか、落ち着いて長い時間できない子は、五つ問題があって1時間だとしたら1問15分で5分休んでまた15分というふうにするとか、テープ入力で問題を出してくれる、用紙の色を変える、図形を見やすくする、辞書持ち込み可能、コンピューターを使っていいとか、読んでくれる人を入れていいとか、答えたのを書き取る人を入れていいとか、別室でやらせるとか色々あります。またサポートグループはさっき申し上げたようなBritish Dyslexia Associationだとかがございます。CreSTeDというのは、公立の学校のディスレクシアに対する対応でランク付けされているリストがあり、それを紹介するグループです。そしてその他に、私立学校ですとか、公立学校、大学、医療機関、商業機関などを通して色々な形でのサポートグループができていて、それが有料なサポートもあればボランティアで一緒に授業に出てノートを書き取ってくれる人とか、そういうのまであります。


22)NPO EDGEの目指すところ

NPO EDGEの目指すところとしては、研究の部分というのはお医者様ですとか実際に現場で子どもたちに会っていらっしゃる先生方にお任せして、まず政府・行政への働きかけ、今文部科学省特別支援教育課だけがやっていますけれども、そうではなくて、一人の人間の生きていく道ですから、厚生労働省、文部省、色んなところが携わってくれないと意味がないのではないかと思っております。そういう働きをしていきたいと思っています。そして親子のサポート、ホットライン、相談などをしていきたいと思っております。あとはボランティアで助ける、それから一番大切なのは、私はディスレクシアなんですかどうなんですかといった時に、簡単に、入院してとか何日間か通ってというのは非常に子どもにとって負担になると思いますから、半日間くらいでディスレクシアの疑いがありますね、じゃあこういう教育的な配慮をしましょうね、ということがわかるようなアセスメントが欲しいなと思っております。あとは多くの人にこのことが分かっていただけるようにと思っております。

今日はこういう場をいただきまして、本当にありがとうございました。一番初めは加藤先生のねこたんで始まりましたけれども、これはうちの犬でございます(笑)。どうもありがとうございました。